2008年7月27日

『国家は、いらない』



なるほどと納得させられる話が多くて、勉強になりました。

無政府資本主義者の筆者が、あえて弱者保護のための福祉国家を肯定する立場から考えたとしても、現実に日本政府が行っている様々な福祉政策が弱者保護という目的達成に失敗しており、かえって我々の生活を貧しくしていると説きます。

たとえば、
・競争原理が働かないため国際相場の2~3倍に高止まりする光熱水費

・コメ778%、小麦252%など、主食農産物に対する高い関税率

・「投資家保護」の名目で行われる行き過ぎた規制が障害となり、金融機関から搾取される一般投資家

・競売すれば莫大な税収となるはずの電波帯域利用権をほとんど無償で与えられ、寡占による暴利を貪る一握りのメディア企業

・社会主義的に価格(診療報酬)と供給量(医師の数)が統制されている医療制度

何故こんなことになってしまうかというと、政治家や官僚も人間である以上、公益よりも自己の利益を優先するからです。これは政治家や官僚が汚職にまみれているという意味ではなく、人は誰でも自己の価値観こそが(他人から見てどんなに受け入れがたいものだとしても)「正義」であると信じて行動する性質を持っているということです。

やはり投資家としては、第6章「金融商品を元に国家介入の無意味さを考える」に書いてあることが一番わかりやすいです。本題から外れた話もありますが、ファイナンシャル・リテラシー的に重要なメッセージが含まれているので引用しておきます。
一般人によるアクティブな証券トレードは有害でさえある

金融商品の消費者としての日本庶民は、踏みつけにされている
結局、世界の様々な証券を割安に購入するには、アメリカ、香港やシンガポールの金融機関で口座を開設するしかない。

FX投資が薦められない理由
外国為替の変動を使って勝つ人間の裏には、基本的に負ける人が必ず存在しており、この意味で為替投資と株式投資は異なる。FX投資とはバクチと同じく、期待利得がゼロの純粋な投機=ゼロサムゲームなのである。


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