先日の 保有期間によるリスクとリターンの変化 という記事でデータを引用した本ですが、やっとのことで最後まで読み終えました。非常に読み応えのある本で、記録しておきたい箇所がたくさんありました。
既に引用したデータ以外で参考になりそうなところを、数回の記事に分けて書いていきたいと思います。
米国以外の諸外国でも、長期における株式の投資利回りは常に債券を上回ってきた。日本の債券投資家は、1ドル=4円だった為替レートが1ドル=360円へと暴落した戦後のハイパー・インフレーションにより壊滅的な打撃を受けた。最悪だったのはドイツである。1922~1923年のハイパー・インフレーションでライヒスマルクの価値は100億分の1以下にまで下がり、国債は紙くず同然となった。しかし、このような経済危機にあっても、土地と資本に対する権利を表象する株式はその価値を維持し続けたのである。
図1-7は主要国の株式と債券の利回りを示している。議論の余地もなく、長期投資においては株式が優位であることが見てとれる。株式投資は利回りで債券を上回るだけではなく、購買力の安定性においてもはるかに優れているのである。
短期投資では株式が確定利付き資産よりもリスクが高いのは明らかだが、過去のデータを分析すると長期投資には逆のことが言えることがわかる。管理通貨制度は米国をはじめ世界各国で導入されているが、この制度には必ずインフレというリスクが伴うため、債券のような「確定利付き」の金融商品に投資しても、決して「購買力を固定」することはできない。過去数年間、物価は驚くほど安定していたが、今後20~30年間のインフレについては依然として不確定要素が大きいのである。過去のデータから学べることは、30年物の米国債の実質利回りよりも、普通株を組み込んで分散化させたポートフォリオを30年間保有する場合の購買力のほうが、はるかに安定しているということである。
(次回へ続く)
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