2008年12月5日

『お金の教養』



ごく基礎的なお金の教養がない人には良い本です。これから社会人になる若い人向けだと思います。値段の割には内容が薄いのと、第5章「お金の増やし方」にツッコミ所が多いのが気になりました。
お金を稼ぐ能力と、お金を維持管理する能力は、全く別の能力です。
その通りです。小室哲也氏を見ればわかります。

年収が200万円から400万円に増えたらなぜかお金が足りなくなった、という著者自身の体験談を元に、収入の2割を貯金に回すというルールを提案しています。このルールさえ守り通せば、自動的に5年で年収と同じ額の貯金ができるというわけです。

これは浪費家には悪くないルールですが、収入の多寡にかかわらず2割固定ということは、収入に比例して生活レベルを上げることも認めていることになるので、ずいぶん呑気な話だなと感じました。

たとえば、年収200万円で2割貯金できていた人が年収400万円になったとき、支出を160万円から320万円に増やして、80万円しか貯金しないようでは駄目です。支出を収入とリニアに連動させるべきではありません。とは言っても、支出をまったく増やさないのも酷なので仮に200万円まで増やしたとしましょう。それでも年収の5割は貯金できる計算になります。2割という数字に大した意味はないことがお分かりいただけると思います。

投資が危険だと言いますが、それはお金を投資するスキルがないのが原因であって、そのスキルがある人にとっては、投資は危険な行為ではありません。
誤解を招く表現だと思います。
危険=リスクという意味なら、完全に誤りです。スキルの有無に関係なく、投資はリスキーな行為です。
一方で、バフェット氏が行う株式投資は、しっかりとその会社や市場のことを調べ、経営者を知り、投資を行うので、堅実な資産運用となるのです。
ダウトです。
一般の投資家が広く知ることのできる情報をどれだけ調べて銘柄を選択したところで、その行為自体が投資のリスクを下げることはありません。バフェット氏の集中投資は、分散投資よりもリスキーな投資法です。
新聞を読み経済指標等を見ることで、世の中がインフレに向かっているのか、デフレになるのかなど、多くの人が将来どうなると思っているのかを感じ取ることができるのです。

 このうねり、つまりタイミングは、投資をする上でとても重要です。
そうは思いません。
新聞を読んだぐらいでわかるようなことなら、あなた以外の投資家もすでに知っていることなので、彼らを出し抜いて儲けることはできません。

最後に細かいツッコミをひとつ。
フロー収入 = 毎月働いて、毎月入ってくる収入
ストック収入 = 労働に関係なく、資産から入ってくる収入
こんな珍妙な定義は初めて見ました。
このような意味なら、「労働所得」「不労所得」 というぴったりの言葉が既に存在します。

「ストック収入」でググってみたところ、
「フロー収入」とは流動的な収入のことで、「ストック収入」は月々安定して入ってくる固定収入のことを指している。
という定義が一般的だと思います。
(http://www.jnews.com/kigyoka/2006/020.html より引用)

本書では「フロー収入」という言葉をストック収入の意味で使うという、全くわけのわからないことになっています。

1 件のコメント:

  1. この著者は、「分散投資は、すべての市場についての知識が必要なるので、集中投資すべきだ」というような意見を述べていたので、私のブログでも取り上げたことがあります。
    商売が上手そうな人だなあという以外の感想を持ちませんでした。

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