2008年9月30日

『「健康」という病』



健康論についていろいろ語ってますが、「あとがき」に本書の要点が集約されている気がします。
 患者さんのためと言いながらも、ほんとうにそれが科学的に証明されていることなのか、その薬を選ぶ根拠はなんなのか、ひとつひとつ考えていくと、いままでにおこなってきた医療行為がいかに実証されていない経験的なものが多いかわかってくる。
(中略)
 医学的データというのは、研究のデータにより、からだにいいというものと、悪いというものがある。どれが真実なのかわかりにくい。
 自分の専門分野はどうしても、擁護したくなるのが医者の立場である。自分のおこなっている医療行為がなんの意味も持たないという結論を勇気を持って発表する研究者は少ないだろう。なにかしら意味のあるものという立場をとるのが普通だからだ。
 自分の信念で診療するのは、科学ではない。科学が万能ではなく、医学は欠点が多いことを認めなければいけない。
これだけ医学が進歩しても、まだまだわからないこと、不確かなことが山ほどあるわけです。
我々も、医者なら必ず正しい答を知っているはずだと思い込むのではなく、たとえ専門家でもわからないことはわからないということを、頭の片隅に置いておくことが重要だと思います。
人間は生物としての長い歴史のなかで本能的に食べ物や生活習慣を「からだにいいもの」という基準で取捨してきた。しかし、いまはその本能が鈍ってきてしまった。
 自分で選択するのではなく、医者がそう言ったとか、テレビでそう言ったという習慣が身についてしまい、健康を自分の責任で考える機会が極端に減ってしまった。食べ物の臭いで腐っているかどうか判断できたものが、賞味期限という定義に頼ることによって、そういう生物としての基本的な感覚をとぎすますことができなくなったのが、現代ではないだろうか。
まったくその通りだと思います。
特に、テレビから垂れ流される情報は、それに踊らされる視聴者の多さを考えると有害ですらあると感じています。

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