図書館で予約してから数ヶ月待ちでやっと回ってきた人気本なのですが、突っ込みどころ満載の本です。免疫のない読者にとっては有害な内容を含んでいるので注意が必要です。
読むなら第二章までにしておくことをお勧めします。
特に第三章「ETFの具体的な投資法」に書いてあることの多くは、投資というよりトレーディングのテクニックです。わざわざETFをテーマに掲げた本に書くようなことではありません。スイングトレードや信用取引の解説などは不要なだけでなく、逆に有害です。
必殺「ヒラメ戦術」の解説を読めば、著者が別世界の人であることがわかります。
ヒラメ戦術のポイントは「下がったら買う」です。損失のリスクを避けるため、年に数回起こりうる大幅な下落局面をじっと待つのです。ここまでは良いとして、
(中略)
もちろん、株価がどのくらい下がるかは予想できませんし、そのタイミングがいつの時点で来るかはわかりません。
それを見分けるコツは、相場全体が上げ局面にあるか下げ局面にあるか五感を使って感じることです。ご、五感ですか・・・(汗)
私の経験で言えば、2007年後半のサブプライム問題の悪化は予想以上に株価の下落につながりました。しかしながら、わずか6ヶ月間に20%前後も株価が下がったのですから、これほど大きい投資チャンスはないと考えることもできます。本書は2008年3月24日発行です。この直前の時期に著者は「五感」を使って「積極的に買うチャンス」と考えていたことになります。その後の株価の推移は見ての通りです。
このように、「~ショック」とか「~問題」というような世間を騒がせる事件が起こったときは、萎縮するのではなく、むしろ積極的に買うチャンスと考えるべきなのです。
このように、本書には「相場の動きは予測できる」という、いかにも職業トレーダーにありがちな前提に立った記述が多く見られるのが特徴です。たとえば、
ETF投資で成功するには、こうした相場が崩れる局面をいかにうまく利用するか、またいかにうまく逃げるかが大きなポイントになってきます。と述べた上で、下落局面では株式ETFの割合を減らして金価格連動ETFの割合を高めた「ディフェンシブ・ポートフォリオ」に切り替えることを提案したりしています。一見もっともらしく聞こえますが、これはETFというパッシブ運用の道具を使ったアクティブ運用に他なりません。
ポイントは、「ポジションをほったらかしにしない」ということです。いいえ。パッシブ運用の基本は、ポジションをほったらかしにすることです。
おまけ。
第5章の「4.投資家の性格別投資方法」では、20個の質問のYesの数で性格診断するのですが、私は7個以下の「ビル・グロス」タイプになりました。債券王と呼ばれる人物だそうで。
あなたは、ETF(株式)投資にはあまり向いていません。そうだったのかー(笑)
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